ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

松沢哲郎『想像するちから チンパンジーが教えてくれた人間の心』

おもしろすぎてワクワクしながら200ページ一気に読み切った。しかつめらしい四字熟語を使うなら、知的興奮、を覚えまくった。岩波書店、2011年発行。
著者は、チンパンジーのアイとアユムの研究で知られる。

全遺伝情報の98・8%が人間と一致するヒト科チンパンジー属(動物分類学上のチンパンジー。人間はヒト科ヒト属)の
西アフリカのフィールドと京大霊長類研究所(アイとアユム)での長年の研究・観察に基づいて
チンパンジーと人間の異同を「社会性」「親子関係」「ことば」等々多面的多角的に考察。
その目的は、人間とは何か、を知ることである。

まず
チンパンジーの「能力」を示すたくさんの事例がとても興味深い。
一つだけ紹介すると
緑インクで書かれた「赤」という漢字、赤インクの漢字「黄」、黄インクの漢字「青」・・・その漢字が何色のインクで書かれているかを
次々と答えるのは我々にとって意外と難しいが、「ことばを覚えた」アイにとっても難しかった、、、

そして
人間とは何か、のいくつかの仮説はエキサイティングでもあり所々?でもあったが
人間と他の動物を比較して~の比較認知科学としての説であり
そこはそれ
人間とは~を探究することは
哲学(「考える葦である」とかね)ばかりでなくあらゆる学問(芸術も宗教も、あるイミ仕事だって)の究極の目的(の一つ)であろうので。

文章はきわめて平易。それでいて研究・観察の手法をきちんと示し、ロジカルに論述している。

「茂みから一人、先頭のチンパンジー男性が姿を現した」(本書73ページ)
著者が一人二人と数え、男性女性と書くのは
メルヘン調ものがたりの擬人化とは、似て非なるモノ。

いつも口全開のワケ

f:id:miyashinkun:20170429095509j:plain

「赤い舌をミミズのように動かし、エサとまちがえて近づいてきた魚を食べる」ため(中田兼介『動物まるごと大図鑑 3動物のふしぎな行動』ミネルヴァ書房、2016年)。水族館では真横からなので舌は見えなかった。

 

miyashinkun.hatenablog.com

 

憲法15条

第十五条  公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
○2  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
○3  公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
○4  すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

 

都議選が近い ということで、対象者たる身内に郵送されました。

f:id:miyashinkun:20170427081913j:plain

f:id:miyashinkun:20170427081930j:plain

新宿中村屋つながり

f:id:miyashinkun:20170423211444j:plain

 『日本最初の盲導犬』↓と ノンフィクションの大秀作『中村屋のボース』(中島岳志白水社 2005年発行)とに「つながり」が!
 『中村屋の〜』は20世紀前半インド独立運動の主導者R・B・ボース)表紙写真)の評伝ですが、彼を日本で匿ったのが 新宿中村屋の初代社長相馬愛蔵・黒光夫妻。そして、その息子相馬安雄は二代目社長で 「日本最初の盲導犬」の育成に尽力。熱いハートを持つ親子だったと言えましょう。


 イキナリ「新宿中村屋」と書きましたが、この新宿東口にある レストランにしてベーカリーが一般にどの程度知名度があるのかはワカリマセン。私は、十代の頃から「遊びに行く」と言えば新宿だったので馴染みがあります(実際に入ったことは今までに数回しかありませんけど)。こんど両作を思い浮かべながら看板メニュー 、ボーズ直伝の「インドカリー」を食べてみようかな。

 そう言えば、その近くの 今は無き大喫茶「白十字」で2ヶ月間ほどバイトもしたなあ。

miyashinkun.hatenablog.com

日本初の盲導犬

f:id:miyashinkun:20170424085721j:plain

1939年。日本最初の盲導犬は 失明した傷痍軍人に仕えた。と言うより、その時代は傷痍軍人用だけだった。

葉上太郎『日本最初の盲導犬』(文藝春秋、2009年)は、戦中戦後10年ほどの間の盲導犬たちをめぐるノンフィクション。その名は、ボド(表紙写真)、リタ、アスター、ルティ、千歳、長門、利根、フロード、セドー、シン。
今の盲導犬クイール(秋元良平『盲導犬になったクイールあすなろ書房、1993年)のようにレトリバーが主流だが、当時はシェパードの独擅場だった。

一人一人の心身を深く傷つける戦争に対する怒りが全体にわたってベースとなっています。
ワンコ党にとっては、犬の素晴らしさ、犬と暮らす素晴らしさにも改めて心打たれます。

 

miyashinkun.hatenablog.com

 

西村賢太、新作!

f:id:miyashinkun:20170423213015j:plain

芝公園六角堂跡』。先月発刊、西村賢太の新作短編集です。

氏の本にしては珍しく一か月ほども図書館予約待ち。氏はエッセイで 図書館利用の読者に罵詈雑言を浴びせているにかかわらず、全作読んでいる私は一冊も買っていません。それこそ氏のファンらしい と自任する次第!?

いつもながらの(と言うか 知る人ぞ知る、と言うより 知っている人だけ知っている^^;)北町貫多(≒西村賢太)主人公の私小説なるも
いつもながらの(と言うか〜以下略)テイストとはチト違い
全4編、バイオレンス(とのカタカナ言葉のような上等なシロモノではないが)皆無で
小説を「何んの為に書いているのか」(原文ママ)をツラツラ自問し続ける「静かな」展開。出色の出来と思しき4編目の ラストで、その「答」に至ります。
そこはかとないユーモア(と言うほど、これまた上品ではないが)と文章のテンポ良さは、いつもながら♪

 

miyashinkun.hatenablog.com

 

見たの初めて!

f:id:miyashinkun:20170422120226j:plain

 

クジャクの羽開き、初めてナマで見ました。

どうせ今日もダメだろうとまるで期待していなかったのですが

突如「ガア゛」とひと鳴きしながら全開♬ @相模原麻溝公園「ふれあい動物広場」

 

クジャクって鳴くのですね。存外 およそ美しい声ではなかったけど。

 

 

 

何ごとも「ウラ側」は見ないほうがいいようで、、、 

f:id:miyashinkun:20170422120816j:plain

 

主語は「わたしたち」

f:id:miyashinkun:20170421092500j:plain

ジュリー・オオツカ『屋根裏の仏さま』。2016年発行(原著は2011年)。

米国に移民した男性の元へ「見合い写真」だけを頼りに日本から嫁いで行った20世紀初頭から 1941年12月「真珠湾攻撃」後までの、「わたしたち」の苦難の日々が綴られた中編小説です。
真珠湾攻撃」とまで書けば ラストは「日系人強制収容」と書いてもいわゆるネタバレにはなりますまい。そもそも本作はネタバレ云々とは次元が異なる作品と言えます。
一人一人は個性を持った別個の人間であるのを示す出来事を数多並べながら、あたかも無個性の「塊」かのように「日系人」女性として歴史に政治に社会にそして戦争に翻弄されたことを表すのに、全編を通しての主語「わたしたち」が効いています。

彼女たちが何に直面し、何を思ったかは、実際の体験談に基づいている とのこと(巻末「謝辞」「訳者あとがき」)。

f:id:miyashinkun:20170421092703j:plain

 

映画「終の信託」(周防正行監督 2012年公開)


現実の事件に材を取り、重症喘息患者の尊厳死安楽死をめぐるストーリーです。
実はワタシ成人してから喘息で少々苦しんだ時期があり
日頃はしていることを意識すらするハズもない呼吸を
一生懸命しなければならないほどの体験を何度も。
ワタシは軽度だったとは言え多少なりとも身につまされた、も含めて
とても見応えがありました。
患者役はサスガの役所広司
大沢たかおが、とてつもなく頭がよくてかつそれを自覚し(すぎ)ている検事を印象深い好演。
担当医の草刈民代も熱演でしたが、、、正直もっともっと上手く演じる女優はいるだろうなあと。

彼女のようなヒトに測られたら脈拍や血圧上がっちゃうだろうなあ(^^;)。調整係数みたいなモノあるのかしら???

アカデミー賞作品賞「ムーンライト」

観た。想像力と考察力が求められる作品だった。およそ映画というものは大抵 そうであろうが、とりわけ!

アフリカ系アメリカ人が主人公。前半が幼年期、中盤が少年期、後半が青年期。
タイトルたる「ムーンライト」が所々でキーになっている。前半ではセリフとして、中盤ではシーンの「背景」として、後半では「映像」(月そのものの映像に非ず)として。

観た同士で語り合いたくなる作品でもあった。あとからジワジワくるよ。