ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

映画「ローマ法王になる日まで」

 ローマ法王に就任したホルヘ・マリオ・ベルゴリオ、20歳で聖職者たらんと決意してから76歳で迎えた2013年のコンクラーベ(法王選挙)までの物語。
 母国アルゼンチン、ブエノスアイレス管区長に就いた1970年代は軍事独裁下。政権と真正面から対峙した神父たちは拷問されたり殺害されたりした一方、イエズス会の重鎮は政権に融和的だった。その狭間で、政権のあり方を良しとしないベルゴリオはできる限りの尽力をしたが。
 救いを求めてきた人たち、救わなければならない人たちに十分には応え得なかった。学生時代に指導教官だった女性は反体制と見なされ惨殺される。無力感に打ちひしがれた。
 町なかの教会で出会った市井の女性から 本作のキーとなるある道しるべを得たドイツ留学を経て80年代、軍政は終わっていた。補佐司教に就いたブエノスアイレスで、貧困地区再開発のため住民たちが立ち退きを迫られる。強制排除は避けるべく、70年代のときより一歩踏み込んだ行動をするベルゴリオ。だが、やはり政治の方が一枚上手だった。排除のため集結する警官隊と、抵抗しようと構える住民たち。一触即発の状況で、ベルゴリオはミサを始める。しだいに住民たちは、そして警官たちもヘルメットを脱いで、聴き入る。
 立場は違えど信仰を同じくする者たちのこの美しいシーンが本作のクライマックス、と私は感じた(いずれ立ち退きそのものは行政の意図通りに進んだのかもしれないが)。以前に読んだあるエッセイの一文「他の動物と人間の最大の違いは信仰心」を思い出した(「信仰心」が悪行をもたらすこともあると言えようが。)
 母国で彼は、誰であれ人々の声を真摯に、彼自身のことであるかのように寄り添って聴き、現実を踏まえて理想を追求してきた。もちろんそれは、困難な道である。だから「失敗」もし、失意にも陥ったが、「無謬」ではなかったこともまた現法王の誇りなのではあるまいか。
 
 聖職者になりたてのとき日本へ布教に赴きたかった、とのこと。
 
↓信仰とは? 赦しとは?

映画「家族はつらいよ」

公開中の「家族はつらいよ2」、観に行こうかなあ。どうしよう。
というわけで、まずは先日テレビ放映されていた「家族はつらいよ」を見てみました。さすが笑いのツボを心得まくっておられるであろう山田洋次監督、大笑い5回 小笑い10回以上させてもらいました。でも、映画館まで出かけて行くほどではないかなあ。アラ(アラウンド)後期高齢者の主人公(話題の?橋爪功)の家族とのアレコレ話ですが、高齢化社会問題について何らかの示唆を得る、ということも特になく。

↓山田監督作品
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目からウロコ

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t大学食はどのメニューもとっても美味しいのですが、若者仕様だけに全般にこってり傾向。その中でイチバンあっさりしているのが意外にもカレー、、、あっ 高温多湿のインド! 元々あっさりした料理、かな。意外でもなんでもない?!

真山仁『そして、星の輝く夜がくる』

3.11をテーマやモチーフにした小説をいくつか読んだ中で
いとうせいこう『想像ラジオ』とともに)印象深い一冊。2014年 講談社
著者を知らしめている(らしい)経済小説ではない。 阪神大震災の被災者でもある教師が3・11被災地の小学校に赴任してのあれこれを描いた短編集。
「人に関われば、無意識とはいえ傷つける場合もある」「それでも、人間は他者との関わりなしで生きていくのは難しい」との教師の独白そのままの心の揺れが丁寧に、感じのよい文章で書き込まれている。
6編のうちの1編『小さな親切、大きな‥‥』のラストがとりわけ深い。

『巨人の星』研究書?

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・実のところ一徹はちゃぶ台をひっくりかえしたことはない
・オズマ カタカナ言葉の謎
・タイガース村山監督はなぜ実物とゼンゼン似ていないのか

マジメ路線に「転向」する前の堀井憲一郎氏が
巨人の星』のディープなディテールをスルドク考察。
(このマンガに熱中した過去をお持ちの方なら)オモシロさ保証します^^;。
1998年発行。

雄馬の名?セリフ「俺は感動している」→ふつう自分でそんな言い方しないだろう と氏は指摘していますが 
元首相が貴乃花をそんなように讃えてから フツーになっちゃいましたね⁇?

 

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珠玉の♪

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「珠玉の」という称賛は短編にこそ似合う。珠玉の長編、とはあんまり言わないよね。

熟練の小説家二人による、まさに珠玉の短編集。井上荒野は昨年、小川洋子は今年発行の新刊。どちらも10編を収める。

1969年 日比谷野音、ジョン&ヨーコ

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横尾忠則HANGA JANGLE展」で展示されていました。町田市立国際版画美術館。撮影OKでした。

1969年12月24日、日比谷野音で開かれた「ジョン+ヨーコ・ジョンのよびかける愛と平和のクリスマス・パーティ」。
そのポスターを氏が手がけていたのもさることながら
このイベントのインパクトは最大級だったのだろうと想像します。ビートルズ解散前夜のこの時期、やっぱりジョンはこういう「単独行動」をしていたんだなあ。当時こどもで しかも何かとオクテだった私がビートルズを知ったのは解散後ですけど。

ポスターの両端に並ぶ名前。小田実開高健唐十郎コシノジュンコ小中陽太郎筒井康隆鶴見俊輔寺山修司、なだいなだ、野坂昭如、羽仁進、、、時代を彷彿とさせる錚々たる顔ぶれ(いろんな意味で)。

 

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横尾忠則 あしたのジョー 巨人の星

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 横尾忠則が『週刊少年マガジン』の表紙を描いていました。1970年の5月24日号(左)と5月31日号(右)。
 小学生だった当時、マガジンは毎週読んでいました。どちらの絵もうっすら覚えがあります。
 町田市立国際版画美術館で開催中の「横尾忠則HANGA JUNGLE展」です(撮影OKでした)。
 1960年代から(新作も!)の版画とポスター計250点が展示されています。

 

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眞並恭介『すべての猫はセラピスト』

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病人や障害者や認知症者へのセラピー動物に 「忠実」を特性とする犬が適しているのは不変だが
「気まぐれ」な特性を生かした猫も活躍中
と。

今年2月刊行。
表紙はセラピーキャットのヒメ。 

 

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真並恭介『セラピードッグの子守歌 認知症患者と犬たちの3500日』

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(ワタシ同様に)身内の介護に直面していてかつワンコ党 なら超特オススメ。そのどちらかなら特オススメ。モチロンどちらでもなくてもオススメ。2011年刊のノンフィクションです。表紙はセラピードッグの一員「メロン」。

ドッグセラピーを利用できる環境はまだまだ限られていましょうが
詳述されている、成功例のドッグセラピーが効果的である理由は
私たち自身が認知症者に対する上での大きなヒントにもなり得ます。
そして、人と犬とのパートナーシップの素晴らしさが余すところなく書き込まれています。

著者は、動物をめぐる作をものしているライター。動物の振る舞いの描写がとっても素敵です。「愛玩」調ではなく、生き物と「分かり合え」ているような。

 

松沢哲郎『想像するちから チンパンジーが教えてくれた人間の心』

おもしろすぎてワクワクしながら200ページ一気に読み切った。しかつめらしい四字熟語を使うなら、知的興奮、を覚えまくった。岩波書店、2011年発行。
著者は、チンパンジーのアイとアユムの研究で知られる。

全遺伝情報の98・8%が人間と一致するヒト科チンパンジー属(動物分類学上のチンパンジー。人間はヒト科ヒト属)の
西アフリカのフィールドと京大霊長類研究所(アイとアユム)での長年の研究・観察に基づいて
チンパンジーと人間の異同を「社会性」「親子関係」「ことば」等々多面的多角的に考察。
その目的は、人間とは何か、を知ることである。

まず
チンパンジーの「能力」を示すたくさんの事例がとても興味深い。
一つだけ紹介すると
緑インクで書かれた「赤」という漢字、赤インクの漢字「黄」、黄インクの漢字「青」・・・その漢字が何色のインクで書かれているかを
次々と答えるのは我々にとって意外と難しいが、「ことばを覚えた」アイにとっても難しかった、、、

そして
人間とは何か、のいくつかの仮説はエキサイティングでもあり所々?でもあったが
人間と他の動物を比較して~の比較認知科学としての説であり
そこはそれ
人間とは~を探究することは
哲学(「考える葦である」とかね)ばかりでなくあらゆる学問(芸術も宗教も、あるイミ仕事だって)の究極の目的(の一つ)であろうので。

文章はきわめて平易。それでいて研究・観察の手法をきちんと示し、ロジカルに論述している。

「茂みから一人、先頭のチンパンジー男性が姿を現した」(本書73ページ)
著者が一人二人と数え、男性女性と書くのは
メルヘン調ものがたりの擬人化とは、似て非なるモノ。