ミヤシンの映画と読書とスポーツ+馬鹿話

子供の時からミヤシンと呼ばれている男です。本や映画やスポーツやニュース等の感想を短く書きます。2016年1月に始めました(2020年4月にブログタイトルを変更しました)。

私小説家の「不健全」な日記

西村賢太『一私小説書きの日乗』は2011年3月7日から2012年5月27日までの日記です。文藝春秋 2013年発行。 この期間の日記や私小説を書くなら100人の作家のうち99人は311東日本大震災に直面しての心の揺れを書き込むでしょう。私自身もそれを読みたいし、実…

高級鉛筆

絵本『はじめての旅』(福音館書店 2013年発行)の作者は鉛筆画で知られる木下晋氏です。10Bから10Hまでの鉛筆で22段階の濃淡を使い分けて描かれたとのことです。 木下氏が「UNI」を使って描いているというわけではモチロンありませんが、三菱鉛筆「UNI」1ダ…

『「音楽狂」の国 将軍様とそのミュージシャンたち』

西岡省二著、2015年 小学館発行。 タイトルと装丁からは面白可笑しく かの国を揶揄した中身のように思えるかもしれませんが、さにあらず。金正日→金正恩両氏が統治のため(民衆のためではなく)音楽を活用してきた歴史を追った、真面目なルポルタージュです…

『宇宙から帰ってきた日本人 日本人宇宙飛行士全12人の証言』

稲泉連著、2019年刊行。 日本人宇宙飛行士全員に、2017年10月から2019年8月にかけてインタビュー。 12人は1990年の秋山豊寛、日本人初になるはずがチャレンジャー号事故により延期された1992年の毛利衛を皮切りに、向井千秋、若田光一、土井隆雄、野口聡一、…

絵本『森のパンダ』

パンダと言えばこの↑ワッペンやミニュチュアのように可愛らしい顔や仕草が前面に押し出される。しかし当然ながら野生では可愛らしさだけで生きていけるはずがないことを、表紙↑のように木下晋氏が描き表した。「鉛筆画の鬼才」と言われる木下氏、よくぞ鉛筆…

『いのちを刻む 鉛筆画の鬼才、木下晋自伝』

著・木下晋、編著・城島徹。2019年12月発行。 鉛筆画で知られる木下晋氏が描くのは、老いた人物。作品十数点の画像が本書冒頭に収録されている。 元ハンセン病患者や「最後の」瞽女。顔の皺一つ一つにまるで人生の辛苦が刻まれているような絵が描ける根源に…

「無とは何か」

たま~に読みたくなる『ニュートン』。STAY HOMEに。 表紙の惹句の他、宇宙が「できる」前は「無」だったか?等。今年2月発行。最新であろう知見も含めて様々な「無」に迫る。 ↓「ビッグバン以前には時間が無いので〜」とはホーキング博士のトンチ? miyash…

「ファクトフルネス」コロナ禍の今だから

コロナ禍の今だからこそ この本が大いに評判になっているようです。 ファクトフルネスとは「事実にもとづいて見る」という意味合いの造語。 miyashinkun.hatenablog.com

7日間ブックカバーチャレンジ⑦『火の鳥』の好キャラ

手塚治虫の壮大な作『火の鳥』。 第一編「黎明編」でヒミコを戴く邪馬台国軍隊長だった猿田彦の、子孫たちが効いています。奈良時代を描いた「鳳凰編」では、ならず者から当代一の仏師になりました(↑鼻が特徴的な人物)。過去から未来までの全編にわたって…

7日間ブックカバーチャレンジ⑥ 表紙とミスマッチ⁇

『23分間の奇跡』ジェームズ・グラベル著(青島幸男訳)集英社 1983年(原書は81年)原題 The Children´s Story…but not just for childrenほのぼのチックに見える表紙絵からは思いがけない中身。まさに23分間ほどで読めますので ゼヒ読んでみてください。オ…

7日間ブックカバーチャレンジ⑤ この人は誰?

大ヒント:「かくれキリシタン」のもの↓ miyashinkun.hatenablog.com

7日間ブックカバーチャレンジ④ 千利休の椿と木槿と朝顔

千利休とは「なにもの」であったか 豊臣秀吉との「確執」はどんなだったのか 史実と解釈と想像力 作家三人 三様に 表紙の花は左から椿 木槿 朝顔、、、それぞれの物語で深い意味が

7日間ブックカバーチャレンジ③ 錯視?

↑タイトル「ユージニア」と著者名「恩田陸」のどちらの字が大きく見えますか。実は・・・2006年の日本推理作家協会賞を受賞した傑作だけに表紙からミステリアスな「頭がくらっとする」仕掛け↓ miyashinkun.hatenablog.com

7日間ブックカバーチャレンジ② 世の中で一番可愛いのは

黒柳徹子さん曰く「世の中で一番可愛いのは赤ちゃんパンダ」。可愛いらしいぬいぐるみが可愛いく動いてくれたらなあ~と思ったことはありませんか。それが現実になったような!とも思えます。 表紙のようにカワイイ「あかパン」(あかちゃんパンダ)の写真が…

7日間ブックカバーチャレンジ① 真っ白な灰に・・・

フェイスブックで楽しまれている「7日間ブックカバーチャレンジ」をやってみます。「本の内容はなしで 表紙の写真だけ」というルールですが、ここでは選んだ理由をほんの短く書きます。 まず一日目。 表紙にフォーカスするなら、いの一番! 「あしたのジョー…

こんなときだからハートウオーミングな小説

小川洋子の『ミーナの行進』をオススメします。最終盤で朋子とミーナが「考えるはじめると、もう出口がなかった」ほど後悔する出来事が起こりますが、ラストはやっぱりハートウオーミング。 miyashinkun.hatenablog.com

欽ちゃんが語る「コロナ」「笑い」「志村けん」

『週刊文春』最新号、欽ちゃんこと萩本欽一が語る4ページは出色モノだった。 「『ステイホーム』は確かに『正解』ではあるけれど、その『正解』が『成功』につながるとは限らないのが、このコロナ問題の難しいところなんだよなア」。感染拡大を防ぐためには…

秋山祐徳太子さん死去 著書『秋山祐徳太子の母』

www.jiji.com 芸術家の秋山祐徳太子と言ってもお若い方はあんまりご存知ないだろうと思います。私も、都知事選挙に何度も出てはホーマツ候補扱いされていたコトぐらいしか、、、 1935年生れの彼が亡き母との60余年間を綴った『秋山祐徳太子の母』(新潮社 20…

『江夏の21球』

1995年に早逝したスポーツライター山際淳司氏の野球に関して書かれた傑作選。1980年代に発表された12編が収められています。角川新書として2017年に刊行されました。 シーンそのものもあまりにも有名な、氏の代表作が表題作の「江夏の21球」です。一点差を守…

有名な落球⚾️

私が野球を見始めて50余年、この間の私的三大落球は ①1973年8月阪神対巨人の阪神中堅手 ②1979年8月星陵高校対箕島高校の星陵一塁手 ③2008年8月北京五輪準決勝の日本代表左翼手 このうち、70年代の①②について気鋭のスポーツライターだった山際淳司氏が1980~8…

stay homeにうってつけ

電車の中でズンズン読み進められるほど軽快なタッチで、もちろん家で読んでも面白いこと請け合いです。述べられているのは(ムジュンした言い方になってしまいますが)リクツ抜きで面白いリクツです。お薦めします。 miyashinkun.hatenablog.com

レティシア・コロンバニ『三つ編み』

齋藤可津子訳。2019年発行(原著は2017年)。フランス人女性映画監督である著者の初小説。刊行されてすぐベストセラーになった。 現代世界でアゲインストに直面している3人の女性。インドのスミタはいわゆる不可触民、イタリアのジュリアは「女は〜であるべ…

私的オールタイム10冊

ドストエフスキー『罪と罰』や漱石『こころ』やカフカ『審判』 あるいは村上春樹やカズオ・イシグロではあったりまえすぎる?ので ほぼ読んだ順で、他の時期に読んでいたら入らないかも の私的で私的な10冊。 ①クイーン『Yの悲劇』中坊のとき初めて読んだ大…

人間はなぜ宗教を?

おおぜいの日本人と同じく特定の信仰を持たない私。だが、コロナ禍のなか大相撲春場所が完遂できたのは力士の四股が「邪悪なもの」を押さえ込んだからと少なからず思える。また、もしも「神様の姿をイメージするとしたら?」と問われたら (神を信じている…

史上最強力士

飯嶋和一著『雷電本紀』(1994年発行の文庫化) 史上最強力士は江戸時代の雷電 が私ども相撲好きでは「常識」ですが、本作は史実とフィクションを交えた小説仕立ての雷電の伝記です。その時代は1800年前後。 素晴らしいのが相撲の取組の描写です。読んでいて…

第1回大岡信賞を受賞

詩集『至高の妄想』(書肆山田 2019年12月発行)の作者は巻上公一氏。先月、佐々木幹郎氏と共に第1回大岡信賞を受賞しました。 巻上氏はヒカシューのリーダーにして、ボーカル。不可思議な楽器テルミンやトランペットも演奏します。 氏にとって初めての詩集…

常井健一『無敗の男 中村喜四郎 全告白』文藝春秋2019年12月刊

自民党に所属していた1994年に斡旋収賄容疑で逮捕されてから無所属として茨城県の選挙区で、裁判中に2連勝、実刑が確定して服役後に5連勝中。中村喜四郎衆議院議員は選挙に「無敗の男」である。一人しか当選できない小選挙区で、政党に属さず支援も受けずに…

年イチ新刊 西村賢太

そろそろ西村賢太私小説を読みたくてたまらなくなった頃にうまい具合に出る。『瓦礫の死角』、講談社2019年12月発行、4編収録。 miyashinkun.hatenablog.com miyashinkun.hatenablog.com

ミシェル・ウエルベック『セロトニン』

関口涼子訳。河出書房新社 2019年9月発行(原著は2019年1月)。 著者は、「フランス人(西洋人)たること」を前面に押し出した男の「苦悩」を描いた小説でベストセラーを連発している。「訳者あとがき」によると本作も出版後わずか半年で47万部売り上げた。 …

「悪い」と「良くなっている」は両立する

『ファクトフルネス 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』を読みました。日経BP社2019年発行(原著は2018年)。 「悪い」と「良くなっている」は両立する、と本書は説きます。「悪い」は現在の状態、「良くなっている」は変化の方向…